Red Notebook 「リメンバー・ミー」家族の愛はunconditional、なのか? 忍者ブログ
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ディズニーとか映画とか。All I can say is this: listen to me. My name is Raito. That is not my real name.
2018年03月25日 (Sun)
見てきました、ピクサーの最新作「リメンバー・ミー 」。「前評判も高いし天下のピクサーだしロペス夫妻の楽曲も楽しみだし死者の日モチーフも好きだし劇場で涙ビシャビシャにして大感動して帰ってくるぜ!」という気持ちで劇場へ向かったのですが、結論から言うとびっくりするほど響きませんでした。
いや泣いたんだけど。天下のピクサーが泣かせにかかってきてるんだから、そりゃあもう滝のように泣いたんだけど。ただ「泣いた」っていうのはイコール「良い映画だと思った」ということにはならないわけで……私、涙腺ゆるゆるだから「パコと魔法の絵本」の予告編ですら泣くし……。
以下、全然褒めてない感想です。ネタバレ全開。
ちょっと今文章をまとめる体力が無いので、思いつくまま書いてます。


良かったところ:ビジュアルと音楽。ペピータは最高。ダンテ×ペピータ推し(?)
乗れなかったところ:
話の肝になる「家族観」がどーーーしても受け入れ難くて躓いてしまいました。
「メキシコの人は家族の絆を大切にする」というのを描きたかったのは分かるけど、それにしたってもうちょっとうまい描き方があったんじゃないの〜?わざわざ「主人公の血縁者が悪人でなかったことを観客に安心させる」くだりっている〜?悪い親は全部継母や継父だったりする世界観から時代が動いてないかんじ〜?
あ、グリム童話に登場する悪い親が継母や継父であることについてのベッテルハイムの心理学的分析の話とかは別に今求めてないんでしてくれなくていいです(予防線)
あと家族愛がテーマなわりに、成長を強いられるのはミゲルだけで、(イメルダを始め死んでる家族はともかく)生きてる家族はぜんぜんミゲルに歩み寄ってなくない?
最後にあの家族が絆されたのも結局、「ココおばあちゃんがお父さんやお父さんの音楽を好きだったことが分かったから(+後々にはヘクターが意図的に家族を捨てようとしたわけじゃないと分かったから)」って理由であって、ミゲルが音楽を愛してるってことを尊重したからじゃないし。死んでる家族はミゲルのために一生懸命デラクルスと戦ってくれたりしたけれど、生きてる家族はミゲルに歩み寄ることもなく、全然ミゲルを尊重してくれてないように見えました。
「ミュージシャンになりたい」と言ったら「あの男みたいになる」と反対された、程度ならまだしも音楽全般を禁止するってふつーにめちゃくちゃ理不尽だし、和解したあとでギター壊したことに対する謝罪の一言くらいあったっていいじゃん。
あと最終的には覆るとはいえ「家族を大切に思ってるから家族の理不尽な要求も受け入れよう(音楽を諦めよう)」という選択をミゲルにさせかけたの、ちょっと背筋が凍ったよ。子どもになんてことを選択させようとしてるんだよ。
家族からの祝福(blessing)(字幕では「許し」になってたけど)はどんな条件(condition)をつけてもいい、というのが最終的に無条件のblessingになったのは「unconditionalな祝福/愛にあなたは値する」ということなのだろうし、そういう意味では唯一イメルダは歩み寄りを見せているけど、結局生者の世界に帰ってくると家族は相変わらずで、(生者の世界では何も起こってないから当然っちゃ当然だけど。)ミゲルを尊重した上での歩み寄りも特にないし……ねえ……
こんな毒親一歩手前みたいな描写なのに「家族って大事だね!」とか言われても、全然説得力がない。
結局、「家族が大事である理由」に「家族だから」以上の描写が与えられないから嫌なんですよね。「家族は家族だから大事にしなきゃいけない」なんて、それこそ親が毒親だったり、親とどうしてもあわなかったりする人にとっては呪いでしかないじゃん。
家族がちゃんとミゲルを尊重して、彼の気持ちに歩み寄る描写を入れてくれればこんなにモヤモヤしなかったのにさー。
そもそも家族が大事なのって「血縁だから」とかではなく、「お互いを尊重して支え合って生きていくから」だと思ってるので、私は。
これに対して「メキシコの人たちの家族観を尊重したんだよ!」とか言われたら「あっそ!!!!!!!」としか言いようがないんだけどさ。
あとさんざっぱら指摘されていますが、子供を持てなかったり、持つ気がなかったり、親とどうしてもうまくいかない人なんてこの世にいないぜ!(そういう人は死者の国では貧しい暮らしをした上忘れ去られて消え去るぜ!)みたいなド保守的な家族観、ふつうに辛い。
ところで、ピクサーの前作「カーズ/クロスロード」でもちょっとメキシコに関連のある要素が出ていましたね。
マックィーンの後を継ぐ存在として出てきた、スペイン語圏の名前を持つクルーズ・ラミレスという女性キャラクター。しかも彼女の声は、母親がメキシコからの移民であることを持ちネタにしているコメディアンのクリステラ・アロンゾがあてていました。(ので、クルーズはメキシコ系と推測できる)
詳細は「カーズ/クロスロード」の感想記事に書いたのですが、「白人男性の積み上げたものを継承するのはメキシコ系の女性」という形自体はまあ見るべきところがあるものの、その描き方にはかなり若者/女性軽視&男性年長者偏重という部分があってモヤモヤしました。フェミニズム的なところと保守的なところのいいとこ取りをしようとしているような。
で、「リメンバー・ミー 」も「保守的な家族観」と「メキシコ移民への反感が高まってる中でのメキシコ文化リスペクト」という、「保守的な層にもリベラルな層にもウケるようにいいとこ取りしよう」みたいなの、意図的にやってると思うんですよね。
だってどっちの層にも受けた方が興行的にも成功するしね。ウンウン分かる分かる。分かるけどなんか、鼻につくなあとか思っちゃうんですよね。
わー!ピクサーのことを悪く言いたくなんてないのに!なんてこと言わせるんだよ!
あとディズニー&ピクサーの「実は悪人でした!」展開は正直ここ最近続きすぎててもうお腹いっぱいかな。
でもデラクルスとヘクターのエピソードについては腐女子的にクるものがあったことは否定できないんだけど……
デラクルスさん、後々死者の日に「写真は飾られてないけど腐女子による同人誌は飾られてるのでセーフ!」って判定で橋を渡れることになったりしそう。え?そういうのはノーカン?めちゃくちゃリメンバーミーされて語り継がれてるのに?あっそう。

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めちゃくちゃ共感しました
ののがき 2018/04/17(Tue)18:21:43 編集
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