劇場鑑賞ぶりに『ウォルト・ディズニーの約束』を見ました。
ちなみに『メリー・ポピンズ』は映画は見てますが原作は未読です。
あらすじ:メリーポピンズを映画化します。
原題 “Saving Mr. Banks”からもわかるように、ディズニーについての映画というよりは「メリー・ポピンズ」(と、その作者であるP.L.トラヴァース)についての映画なのですが、私はこの邦題もアリだと思いました。
この作品、三重くらいの意味で「ディズニー」映画だったから。
まずディズニーファン的に重要な「ディズニー」ポイントは、やっぱりウォルト・ディズニーがキャラクターとして登場するところ。ウォルト・ディズニー役のトム・ハンクスについては、配役が決まったときにも「トム・ハンクスはウォルトじゃないよ~~全然似てないよ~~」と文句タラタラで、スチルを見ても「やっぱり似てないよ~~~こんなのウォルトじゃないよ~~」とブーブー言っていたのですが、いざ本編を見てみると不思議と納得いきました。
本物のウォルトとしか思えない!ってわけじゃなくて、やっぱり「トム・ハンクスがウォルト・ディズニーを演じている」っていう感じなんだけれど、そもそも「ウォルト・ディズニー」自体がウォルトによって演じられたキャラクターなわけであって。
再び「ウォルト・ディズニー」というキャラクターが演じられているところを見られるというだけで感慨深いものがあります。
お話自体のテーマも、非常に「ディズニー」的で、「ルイスと未来泥棒」にも見られる “Keep moving forward”(前に進み続けよう)という話で、さらには“Let It Go”というアナ雪につながる話でもあるのですよねえ。
そしてこの映画で何より嬉しかったポイントは、「ストーリーテラーとしてのウォルト」が見られたところ。この映画のテーマは、“This is what we storytellers do.”から始まるウォルトのセリフに尽きると思うのです。
「それが我々物語を創る者のすることだ。想像力で悲しみを癒す。そして人々に希望を与える。何度でも。」
ジェリー・シーゲルが強盗に襲われこの世を去った父を救う存在として、スーパーマンを夢想したように、メリー・ポピンズもまた誰かを救うヒーローとしてこの世に生まれてきました。
誰かを救いたいと願う気持ちが物語を作り出す。フィクションは嘘だけど、それは優しい嘘なのです。
何度苦く辛い現実にぶち当たろうと、過去へ押し戻されそうになろうと、フィクションという一匙のお砂糖があれば、私たちはきっと過去を許し、未来へ進んでいけるという、まるでポットから注いだばかりの温かい紅茶のような作品でした。大好き。
あとシャーマン兄弟がものすごい萌えキャラでつらい。
余談
若き日のウォルト・ディズニーを描く映画が見たいです。
スーツケースと夢だけ持ってハリウッドへやってくるウォルトとか、アブ・アイワークスとのあれやこれやとか。ライアン・ゴズリング主演でどうですか。ねえねえ。